
非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI=Non-Nucleoside Reverse Transcriptase Inhibitor)も、その名が示すとおり逆転写酵素を阻害する薬剤である。 現在、以下の4薬剤が認可されているが、わが国ではEFVが群を抜いて多く使用されている。
NNRTIの構造をみると、先に記載したNRTIとは全く異なる構造をしており、逆転写酵素の阻害機序も大きく異なっている。
NNRTIは逆転写酵素の活性中心部近傍に結合し、酵素活性中心であるAsp110、Asp183とAsp185の位置をずらし、ひずみを作り出すことにより逆転写活性を失活させてしまう。
現在使用されている薬剤の化合物は構造式ではかなり異なっているが、結合した状態では類似しており、蝶がはねを広げたような形にたとえられている。
結合した形状が類似していることは、既存の3薬剤間の交叉耐性が著しいことを意味している。
この3つのNNRTIはその結合形式から大きく次の2つのタイプに分けることが出来る。
NNRTIも積極的な新薬開発が行われているが、既存薬との交叉耐性を回避することが大きな課題である。
2008年12月に日本で新たなNNRTIであるetravirine(開発名:TMC125)が承認された。etravirineは、既存のNNRTIと交叉耐性を示さない。
これは、etravirineが柔軟性(flexibility)を有しており、HIV-1の逆転写酵素に複数箇所で結合し、その活性を阻害するためであると考えられている。 Das K, 2004
EFV、NVPに対する代表的な耐性アミノ酸変異にK103NやY181Cがあるが、etravirineはこれらの変異を単独で有するHIV-1に対し十分に抗ウイルス作用を示す。Madruga JV, 2007 ; Lazzarin A, 2007 ; TMC125-C223 Writing Group, 2007
このことから、今までのNNRTIで治療に失敗した症例についても、効果的に適用できると期待されている。
NNRTIは単剤で使用した場合、容易に高度耐性を獲得するために、使用され始めた当初は寿命の短い薬剤と予想されていたが、実際に使用されるようになると、長い血中半減期と大変優れた治療効果を発揮し、プロテアーゼ阻害剤に代わり多剤併用療法の要となっている。