


インテグラーゼ阻害剤(INI=Integrase Inhibitor)はHIV遺伝子の宿主遺伝子への「組み込み」を担う酵素インテグラーゼを阻害する薬剤である。現在認可されているのはRaltegravir(RAL)である。
インテグラーゼはHIVの複製に欠かせない酵素の一つであり、HIV遺伝子断端を組み込み反応の基質として活性化処理する3’プロセッシング活性と組み込み酵素活性の、少なくとも2つの酵素活性を有していることが知られている。Engelman A, 1991
2000年にMerchの研究グループにより、diketo acid構造をもつ化合物が、インテグラーゼの組み込み活性を阻害することが初めて報告された。Hazuda DJ, 2000
その後、臨床使用に耐えうるように薬物代謝や毒性等の問題を解決するには、さらに10年近い歳月が費やされ、2007年米国において世界初のインテグラーゼ阻害剤としてRALが認可された。Markowitz M, 2006
RALの耐性化はその結合部である活性中心近傍に誘導される。
現在のところ、Q148R/H/KとN155H変異が耐性に寄与することが知られている。
Q148R/H/KはさらにG140Sが加わることにより、N155HではE92Qが加わることにより耐性レベルが高まり、薬剤耐性ウイルスはこのいずれかの経路で選択されていくと報告されている。
いずれの変異もHIVの増殖能力を著しく低下させることが知られており、このことが薬剤耐性獲得にどの程度有利に働くかについては不明である。
現在RALに続いてelvitegravirが臨床試験に入っているが、この薬剤で誘導される耐性変異はT66I ,E92Qとraltegravirとは異なっているが、RALに対しても交叉耐性を示すことが報告されている。Shimura K, 2008

