薬剤耐性HIVインフォメーションセンター

耐性検査の標準化Standardization of HIV-1 Genotypic Drug-Resistance Test

標準化とは?

標準化とは、簡単に言うと「いつ、どこでも同じ結果が得られる状況を作ること」であり、臨床検査では生化学検査をはじめとして様々な検査項目において「標準化」が積極的に進められています。HIV-1薬剤耐性遺伝子検査(genotype検査)は治療の開始や変更時に適切な薬剤を選択するための貴重な情報を提供する重要な検査ですが、難度も高く現時点では標準化はなされていません。

標準化には、1)基準となる測定方法、2)基準となるサンプル、3)精度管理の3つが大切です。本研究班では3)精度管理を定期的におこなっています。

精度管理とは?

病院や健康診断などでの検査結果は、たとえ同じ血液だとしても検査をした時間や日、場所によって結果は異なります。例えば、血糖値が100mg/dLという結果は、他の施設では98mg/dLという結果かも知れませんが、もし、200mg/dLという結果を出す施設があるとしたら、それは誤診に繋がります。このようなことが起こらないように、臨床検査室では毎日、基準となるサンプル(結果値がわかっているサンプル)を測定し、正しく検査がおこなわれているかを確認しています。これを内部精度管理といいます。また、複数の施設で同じサンプルを測定し、同じ結果になるかを確認することを外部精度評価といいます。

Genotype検査の問題点

本検査には市販検査キットが無く施設によって方法が異なるため、施設によって結果が異なることがわかっています。特に、存在する割合が低いHIV(マイナーバリアント)を検出する結果に違いがあります。マイナーバリアントが治療に影響するという報告もあることからも本検査の標準化が必要です。

標準化の取組

現在(2018年8月)までに以下のことに取り組んできました。

  1. 外部精度評価
    genotype検査を実施している国内施設を対象に6回の外部精度評価をおこなってきました。その結果、開始当初に比べて施設間差は小さくなってきています。Yoshida S, 2015
  2. 推奨法の設定
    本検査の測定方法として推奨する3つの方法を設定しました。
  3. 基準となるサンプルの作製
    本検査の外部精度評価および内部精度管理での利用を目的とした評価サンプルを作製しました。

HIV薬剤耐性検査の推奨法

PDFダウンロード(HIV薬剤耐性検査の推奨法 第3版)

外部精度評価参加施設の募集

外部精度評価は1-2年間隔で実施します。

参加を希望される場合は、メールにてご連絡下さい。

標準化WG 吉田 shiyoshi-RESISTANCE-@hoku-iryo-u.ac.jp

なお、過去に参加された御施設には、参加希望の有無に関わらず募集の案内を致します。

※メールアドレス中の “-RESISTANCE-” はスパム対策のために挿入しています。ご連絡の際は、お手数ですが “-RESISTANCE-” を削除してください。